仕事とワーキングメモリ
認知機能を改善し、集中力のスタミナを高めるエビデンスベースのトレーニング・プログラム
ワーキングメモリとは
ワーキングメモリは人間の脳の重要な部分で、人の名前を思い出すこことから、車の運転まで全てのことに使われます。この欠くことの出来ない認知機能について我々が知る事実は以下の通りです。
ワーキングメモリは重要な認知機能であたまに情報を短い時間(典型的には数秒間)保持することを可能にします。
ワーキングメモリは子ども青年期に発達し、20-30歳で最大容量に達し、その後は年齢とともに低下します。
ワーキングメモリの容量は個人差があります。
脳梗塞の患者はしばしばワーキングメモリの障害に苦しみます。
うつや統合失調症などの症状として認知能力の低下が見られ、気分の改善後に必ずしも認知能力の回復は伴いません。
ワーキングメモリは可塑的です。筋肉のように、運動で改善できます。
背景
「ワー キングメモリ」という言葉は数十年存在してきました。初期の概念化は、アメリカの心理学者ウィリアムジェームスが容量の限られている”一次”記憶と、長期記憶の区別を提唱した19世紀に遡ります。アランバデレー(Baddeley)博士がのちにワーキングメモリを、視覚および聴覚的情報を補足し、注意 を振り向け、プロセスを調整するという、複数の側面からなる機能として定義しました。このモデルは、いまでも広く受け入れられており、徹底的な研究をうけ て、ワーキングメモリは決定的に注意のコントロールと結びつけられると修正されてきました。
ワーキングメモリの問題
ワー キングメモリの問題は、そのひとの注意を集中する能力、衝動をコントロールする能力、問題解決する能力に影響します。例えば、ワーキングメモリに問題 のある人は、読書のときに度々集中が途切れ、なぜ一つの部屋から別の部屋に移動したのか忘れます。
ワーキングメモリは強化出来る。
動物においても人間においてもワーキングメモリは何十年も研究されてきたにもかかわらず、スウェーデンの脳科学者トーケルクリングバーグ博士がワーキングメモリは脳の可塑的 (変わることが出来る)な機能で、集中的なトレーニングで強化可能あることを証明したのはほんの最近です。
オフィスでワーキングメモリは特に重要です。
集中力を維持し、重要な情報を記憶し、予定を守るために欠かすことが出来ないだけでなく、ワーキングメモリはプレッシャーの下で集中し、気を散らされる要素があるなかでプロとして機能することを可能にします。
想 像してください。あなたは部屋いっぱいの人々の前で重要なプレゼンテーションをしています。精力的に準備しましたし、そのことは、自信をもって重要なポイ ントを説明していくにつれて明らかになります。すべての視線はあなたに注がれ、あなたは彼らがわかりはじめたこと、プレゼンテーションが成功するであろう ことを感じはじめます。突然、頭がまっ白になります。 必死に立ち直ろうとして、言い間違いをしてしまいます。パンクしたタイヤから空気が抜けるように自分の勢いが部屋から去り行くのを感じます。当惑が、回復 をさらに難しくします。
多くのプロフェッショナルがこのシナリオを大変よく知っています。限られたワーキングメモリ容量がそのような 瞬間の原因であり得、プレッシャー状況を避けさせようとする原因となることによって、キャリア上の成功に影響してしまいます。
強いワーキングメモリはプロフェッショナルをプレッシャーのもとでよい働きをし、計画性を発揮し、行動の優先順位づけすることを可能にします。強いワーキングメモリをもったプロフェッショナルは時間効率が高く、マルチタスクに優れています。
ワーキングメモリとキャリア・ライフ
プロフェッショナルがワーキングメモリーを使う状況
職場・アポイント・会議にオンタイム
業務上のデッドラインを守る
マルチタスク・作業の優先順位付け
プレッシャー状況で効果的な働き
重要な氏名や電話番号などを記憶
同僚とのやりとり
メール、メモ、概要記述
ワーキングメモリーの運動が必要なサイン
職場・アポイント・会議によく遅れる
タスクを完了するために必要な時間を過小評価する
プロジェクトをマネージ可能なステップに分割、一度に複数のタスクを処理することに問題
プレッシャー下で集中できない;パニックになりやすい
会議のあとや、受話器を置いたあと、顧客の氏名や電話番号を憶えていない
きちんとして首尾一貫したメール、メモ、まとめ作成が困難
私たちはワーキングメモリーを社会的な状況や人間関係の中で使います。
他者のニーズや気にしていることに耳を傾け、思いやるにはワーキングメモリーの使用が必要です。
パー ティーでいま誰かに出会ったと想像してください。楽しく数分間おしゃべりし、互いがもつ共通点を見つけました。会話の終わりに、二人ともに、近い将来にま た会いたいという欲求を表明しました。暖かく握手しながら、”お目にかかれてよかったです”。この新しい友人の名前を思い出そうとしても、頭はまっ白でし た。
ワーキングメモリーに課題をもつ人々は、重要な出来事や用事に集中し記憶出来ないことから、しばしば社会的なやりとりや関係において困難を経験します。悲しいことに、これらの小さな過ちは冷淡さや無関心と誤解されるかもしれません。
健常なワーキングメモリーは、氏名や日付など重要な事実を記憶すること、注意深い聞き手であること、周りの人の感情的・身体的なニーズに気づくことを可能にします。
ワーキングメモリーと社会生活
30歳をピークにして全ての人間のワーキングメモリは低下します。
これは全ての人に共通しています。あらゆる人のワーキングメモリは約30歳までその能力を伸ばし、そこからゆっくりと下降しつづけます。
40歳以上の全てのひとは、30歳の自分と比べれば、ワーキングメモリに問題があることになります。
経験や、慣れからプレッシャーを感じる場面が少なくなったり、プレッシャー状況をうまく避けることが出来るようになっているかもしれないので、m低下したワーキングメモリでも難なくやりこなしているのかもしれません。
転職をするなどして、経験していない状況や新たな局面などで、さらに新たな職場などの理由でプレッシャーがかかると、意外にも会議内容をすっかり忘れている自分に気がつくかもしれません。
新たな局面で、経験に頼らず、与えられた情報から解決策を見出すことが出来る能力を流動性知性といいます。経験や戦略・方略の知性を結晶性知性といいます。 流動性知性と結晶性知性を併せた、人の問題解決能力は一般知性あるいは知能と呼ばれ、教育の場面などであれば、その後の学業成績を強力に予測し、成人であ れば、生涯にわたる業務成果を見込む最も予測力が高い指標として使われています。IBMやマイクロソフトなどでは採用や昇進の科学的で信頼性のある根拠と してほとんど唯一使用されている測定値です。流動性知性はワーキングメモリーと強く相関しているため、約30歳でピークを迎えます。これまでの知能の科学 では、加齢が良い意味をもつ結晶性知性と、加齢により損なわれる流動性知性を主要な因子として、その和としての一般知性(知能)は壮年期にピークを迎え、 あとは低下するものとされてきました。また、加齢により新しい局面で問題を解決したり、新たなことを理解し、学ぶ能力は失われ、過去に学んだ経験や方略に 頼って解決するため、柔軟性を失うとされてきました。
ワーキングメモリがトレーニングで改善できるという発見は我々全員にとって画期的な、たいへん良いニュースといえます。
エビデンス(科学的事実)に基づいたトレーニングメソッドと効果
一日約35分
週5日間
6週間
自動的に適応するアプリによるワーキングメモリーへの負荷
このトレーニング・プログラムも、それによるワーキングメモリーと、認知機能や、日常生活における認知活動の持続的な改善効果はエビデンス(科学的に証明された事実)に基づきます。
エビデンス1
ワーキングメモリトレーニングによる脳のネットワークの可塑的な変化。(Nature Neuroscience 2004, Olesen)
エビデンス2
トレーニングの中で使われたものではない、標準的な測定方法によるワーキングメモリの改善。
赤はワーキングメモリトレーニングを行ったグループ。点線は高齢(60-70歳)グループ、実践は若年(20-30歳)グループ。Baseline=トレーニング前、Post Training=トレーニング後、Follow up=3ヵ月後。
25セッションのトレーニング直後(Post Training)も3ヵ月後(Follow up)も、高齢のトレーニンググループ(赤い破線)が、トレーニングを行っていない若年グループ(青い実践)と同じか、言語のワーキングメモリー能力(Digit Span)ではむしろ上回る。
エビデンス3
認知機能の測定と、日常生活における認知機能の自己評価における持続的な改善。
赤はワーキングメモリトレーニングを行ったグループ。点線は高齢(60-70歳)グループ、実践は若年(20-30歳)グループ。
PASATは注意の機能を測定する標準的なタスク。CFQは日常生活における認知的な失敗・誤りに関する自己評価で、低い値ほど誤りが少なく、良い数値。
25セッションのトレーニング直後(Post Training)も3ヵ月後(Follow up)も、高齢のトレーニンググループ(赤い破線)が、トレーニングを行っていない若年グループ(青い実践)と同じか、CFQのトレーニング直後ではむしろ上回る。
こ れらのエビデンスはワーキングメモリトレーニングによって、脳のネットワークに持続的な変化が生じて、キャリアライフおよび社会生活・人間関係に重要な ワーキングメモリが改善するだけでなく、標準的な認知機能測定値においても、日常生活における認知機能においても若々しさを取戻し、それを持続していけ ることを証明しています。(Westerbergcns2008-J2.pdf)
コグメドの数千におよぶ臨床データから、トレーニングソフト内で測定されるワーキングメモリ指数で年齢や性別、課題があるか健常かによらず、平均約20%の改善が見られます。
30-40 分を25日間続けるトレーニングは忙しく働く成人にとっても、毎日必ずある少しの娯楽や、運動時間を考えればやりくりが可能な時間です。まして、約1ヶ月間集中的に時間を費やせば、80%以上の場合には何年にもわたって持続的な効果が得られます。1ヶ月、1日30分の肉体トレーニングで、持久力や筋力あるいは体重を20%改善できて、そのあと何もしないでも何年間も効果が持続するでしょうか。脳は効率が良く改善し、改善効果が持続する点において、ト レーニングのやり甲斐の点で肉体に比べて大変優れていることがわかります。トレーニングも情報の時代と言えるのではないでしょうか。
科学的・臨床的に証明済みの唯一のワーキングメモリトレーニング
楽 しむために科学的根拠は必要ないと思います。楽しければいい、時間をつぶしたり、ストレスを発散できればいい時代は終わりました。もし、自分を本当を変え て、若々しさ・柔軟性を取り戻し、これからやってくる経験したことのない新たな難局を自分の力で解決するための能力を伸ばしたいならば、25日間の時間と 努力が必要です。大変な努力と大切な時間は科学的な根拠があるからこそ投資できます。また確信がなければ完了は困難です。ワーキングメモリトレーニング は、このトレーニングプログラムに従うことによって、脳の可塑的な変化を伴い、ワーキングメモリを改善し、その他の重要な認知機能も改善することを科学 的事実として証明した唯一のトレーニング・プログラムです。
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メールあるいは電話によるコーチングが、30セッションの修了のために支援します。期間を通して、意図した密度、レベルでトレーニングしてはじめて、科学的証拠(エビデンス)に基づく効果の再現が可能です。
トレーニング・プログラム(1名、30セッション)
メールによるコーチング、電話によるコーチング、コーチングなしを選択可能
1週間(5セッション)に1回のコーチング(最大7回)
事前・事後評価
トレーニングを提供する専門のカウンセリングオフィスなどをご紹介します。
お問い合わせはこちらからどうぞ。
ワーキングメモリー合同会社(会社概要へ)
電話: 03-5050-2885 (休日もどうぞ。午前9時~午後5時)
メール: info@cogmed-japan.com
担当 平野、本田
重要なお知らせ: コグメドのワーキングメモリトレーニングは医療機関の相談・診察や、医師により処方されるかもしれない薬物治療の代わりとなることを意図されたものではあ りません。コグメドワーキングメモリトレーニングに関する科学研究は強い改善効果を証明しています。それでも、個々のケースや、特定のユーザにおける効 果と結果は決して保証できず、結果は様々であるかもしれません。